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がんなど大病の治療、手術の後におこるうつが、「術後うつ」と呼ばれます。
家族だったり親しい友人だったりすれば、早く少しでも良くなって欲しいと願うもの。
でも過干渉こそが、術後うつの原因になる場合もあるそうです。
ネプチューンの名倉潤(50)さんが、ヘルニア手術後のうつ病発症を発表したのは記憶に新しいところです。
そもそも「うつ病と診断されるのは、『抑うつ気分』あるいは『興味・意欲の低下』のどちらかがある。
そして、
・食欲低下
・睡眠障害
・焦燥感
・全身倦怠感
・集中困難
・自責感
といった症状が5つ以上、2週間連続してあること。
その原因が説明できない場合とされています。
術後や退院後に“眠れない”“食欲がない”といった状態を訴えたら、うつ病に罹患している可能性があると考えておくべきでしょう」
そうした兆候に気づいたら、精神科、精神神経科などを受診し、適切な治療を受けることになります。その際には、「家族の見守り方」がカギとなります。
「つらそうにしている患者さんに対して、安易な“励まし”は禁物です。とくに家族や身近な人は『もう手術が終わって、腫瘍も取ったんだから、大丈夫だよ』『そんなにダラダラしてると体に良くないよ』などと言ってしまいがちです。しかし、そうした言葉がかえってプレッシャーを与えてしまう」(大西教授)
術後うつを経験した患者の言葉が、大西教授の指摘を裏付けている。
時代劇の悪代官役や刑事ドラマの悪徳刑事役などで活躍する俳優・船戸順(80)も、50代後半で発症した肺気胸の手術後、うつを発症した。その際の妻のサポートについて、過去にインタビューでこう語っている。
〈何よりよかったのは追い打ちをかけられなかったこと。(中略)病気降板などをしてきて、妻から「これからどうするの」というようなことを一度も言われたことがない。だからこそ、こうして現役でやれていることが、ものすごくうれしいですね〉(『読売ウイークリー』2008年11月9日号)
同様に、「健康のために〇〇をしたら?」などとアドバイスすることも禁物だ。術後うつ、退院うつを発症した家族との“適切な距離感”は難しいが、NPO法人うつ・気分障害協会代表理事の山口律子氏はこう指摘する。
「『困ったらいつでも声をかけて』という程度がちょうどいいですね。先回りして何かをしてあげるのは、過保護・過干渉になって、本人はかえって心理的な負担が増えてしまいます」
家族だけで抱え込まないことも重要だ。主治医や精神科医への相談のハードルが高いと感じたり、本人が受診に抵抗感を感じるケースもあります。そうした場合は、公的機関の相談窓口も頼りになるという。
「意外に知られていません。地域の保健所や保健センター、都道府県・指定都市に設置されている精神保健福祉センターなどの公的な相談窓口では、月に1度『こころの健康相談』を行なっています。各自治体のホームページなどで開催日時などの詳細が公表されているので、一度利用してみてもいいでしょう」(前出・山口氏)
※週刊ポスト2019年9月13日号